芳田氏は、リトルトーキョーに住む高齢者を対象に、社会からの孤立をなくし、コミュニティへの帰属感を高めてもらうことを目的とした書道のワークショップを数多く開催しました。アーティスト イン レジデンスでは最終的に高齢者の書道展、短編フィルム「心の書(Calligraphy of the Heart)」の作成、ファーストストリートノースでの書道パフォーマンスの実施、そして賞を受賞した短編フィルム「ファーストストリートノース」の作成を行い、歴史と歴史的建造物保護について調査することができました。アーティスト イン レジデンスになって以来、日米文化会館との1年間のプログラム「書道フォ- リトルトーキョー」で高齢者向けのワークショップを継続し、および「小東京の窓(Windows of Little Tokyo)」やリトルトーキョーサービスセンターのテラサキ武道館の委託アーティストとして、熱心な取り組みを続けてきました。現在はリトルトーキョーの住民として自治会の代表を務める、リトルトーキョーが誇る書道家です。
グレース、「心の書」(2018)の芳田氏の書道ワークショップ参加者。
(写真: Ken Honjo)
現在の「クリエイティブ・プレイスメイキング(創造的な場所作り)」の動きが生まれる随分前から、リトルトーキョーが日系アメリカ人コミュニティとして持続していくための取り組みにアートや文化を通じたコミュニティの表現がありました。ファーストストリートノースブロックに限定すると、「思い出の小東京(Memories of Little Tokyo)」(1996)は、この歴史ある地区の歩道にシーラ・レブラント・ド・ブレテビルとソニア・イシイが作った時の流れを示すアートインタレーションです。1998年にリトルトーキョー サービスセンターは、由緒ある日系アメリカ人教会と旧ピルグリムハウスをユニオンセンター フォー ザ アートに改築し、イーストウェストプレイヤーズ、ビジュアルコミュニケーションズ、LAアートコア、チューズデイナイトカフェといった施設を迎え入れています。
サステイナブル リトルトーキョーのアート@341FSNは、341 1st Street にあるリトルトーキョーサービスセンターの店舗スペースを使った例の1つです。2018年~2019年に、様々なコミュニティ団体がこのスペースを利用し、パフォーマンス、展示、ワークショップ、ミーティング、その他のコミュニティイベントが行われました。リトルトーキョーの中心地というロケーションから、ここは幅広い層の既存の利害関係者やビジターと繋がりを持てる理想的な場となりました。このプロジェクトは、ファーストストリートノースが直面する存続の危機やこの歴史的地区の将来に向けたコミュニティのビジョンに関し、市民への啓発と教育を行いました。
(写真: Scott Oshima)